技術コラム

増肉加工のご紹介

「プレス加工で材料よりも厚みのある製品を作ることは難しい。」
このようにお考えの方はまだまだたくさんおられるのではないでしょうか。
機器や技術の発達により、金属加工技術も様々に進化を繰り返しています。
材料よりも厚みのある製品を作る、そんな不可能を可能にするプレス技術「増肉加工」のご紹介です。

<目次>

  • 増肉加工とは?
    • 増肉加工について
    • 増肉加工のメリット
  • 増肉加工の難しさ
  • 板鍛造用のプレス金型設計におけるポイント
  • 当社の製品事例のご紹介
  • 板鍛造なら、池田製作所にお任せください

増肉加工とは?

増肉加工について

プレス加工とは、材料を専用の加工機でプレスすることで、製品を成型する加工方法です。

プレス加工をするには、専用の加工機だけでは生産ができず、事前に対になったプレス金型を用意する必要があります。上下に分かれた型の間に材料をセットし、プレスすることで製品を成型します。プレス加工には、金型の設計・製作の初期費用がかかってしまいますが、量産ラインの立ち上げにより月間数千~数十万の量産が可能になる点、非常に高い生産効率で小物・薄物でも量産できる点、切削加工と異なり材料歩留まりが高い点など多くのメリットがあります。

そんなプレス加工において金型は非常に重要な役割を果たします。金型には製品を作るために重要な機能が多数備わっております。製品を成型する機能はもちろんですが、プレス機へ取り付けるための機能や材料の位置決めをする機能、対の型の位置設定を行う機能などもございます。これらは、金型を構成する部品によってなりたっているため、いずれかの機能が欠けてしまってはプレス加工を実施することはできません。プレス加工にとって金型はなくてはならない存在なのです。

>>プレス加工の種類とその特徴について解説!加工方法と金型、それぞれの種類についてご紹介!

そのようなプレス加工の中で、増肉加工は、板厚よりもプレス加工後の板厚が厚くなるように、局所的に肉を他場所から流してくる、一体成形を実現する加工方法です。

増肉加工のメリット

板鍛造は「板金加工」と「冷間鍛造」を組み合わせた技術と説明させていただきましたが、それぞれの技術との違いについて詳しく説明させていただきます。

>>板鍛造とは?板金加工・冷間鍛造加工の違いやメリットのご紹介!

事例① リベット接点の一体成型

・複数工程の単工程化
増肉加工を行うことで、複数工程に渡って加工を行っていた製品の単工程化が可能です。従来はリベット形状を作る金型と、ベースの抜き金型、それらを一体化させるカシメ金型をそれぞれ設計製作する必要がありました。また工程が別であるため工程間の歩留まりなど様々なロスも発生してしまうため効率的に製造することが難しくなります。しかし、増肉加工で板材を金型プレスで部分的に厚くすることで一体成型による製造が可能となります。結果として、複数工程の単工程化を実現します。

・コストメリットの提供
単工程による一体成型を行うことで、従来必要であった、金型の設計製造費用の削減、部品加工コストの削減、材料ロスの削減、各工程間のロスの削減など多くのコストの削減が可能となります。

・加工精度の向上
従来、複数の部品を組み合わせて加工を行っていたため部品ごとの精度のばらつきにより完成品の精度が影響されるリスクがありました。一体成型により部品点数が減ることで製品の精度を安定させることも可能です。

・金属強度の向上
従来は複数の部品をカシメにより一体化をさせていましたが、増肉加工により金属を圧縮して成型するため、金属強度の向上が可能です。

事例② アルミダイキャストの製造

・軽量化
従来、削りだしによって厚い部分や薄い部分など厚みに変化を作り製造されていたアルミダイキャストですが、プレス加工による増肉加工で製造することで無駄な材料を省き軽量化とコストダウンが可能です。

増肉加工の難しさ

このように多くのメリットを有する増肉加工ですが、圧力をかけた際に材料がどのように変形するのか、流動挙動の予測が難しいため、シミュレーションやトライ&エラーが非常に重要になります。代表的なネックとなる折れ込みや座屈の例に、対策をご紹介させていただきます。

増肉加工における課題

・折れ込みや座屈
プレス加工時に上下ダイの空間が大きい状態で加工を行うと空いた空間に材料が変形して折れ込みが発生してしまいます。

増肉加工における課題への対策

・成型圧力の調整

成型中の上ダイとパンチ力の見直しや、金型のスプリング本数の調整など圧力・拘束力の調整が必要です。

・金型の傾け角度の最適化

金型の角度が直角では、プレス時の圧力分散がなく座屈や折れ込みが発生しやすくなります。そのため、金型を適度に傾け圧力を分散させることが必要です。

増肉バーリング加工とは?

バーリング加工とは、板金加工において穴をあけた際に穴の周囲にフランジをつけて高さをつける加工方法です。この板厚よりも穴周囲を高くすることで、本来はナットが必要な個所に対して板金自体にタップを施すことができ、部品点数レスと同時に工数レスを実現することができます。

このバーリング加工を、プレス加工で増肉加工によって実現した加工方法が、増肉バーリング加工です。そもそもの増肉加工自体も困難ですが、タップ加工ができるほど局所的に板厚を厚くして溶接ナット代わりにするのは、さらに難易度が高くなります。

しかし当社では独自のプレス・鍛造金型の設計・製作技術により、この増肉バーリング加工を実現し、国内大手メーカーの設計エンジニアの方々からも注目を集めています。

>>増肉バーリング加工とは?コストダウンや強度向上だけでなく、溶接レスで脱炭素社会にも貢献!

当社の製品事例のご紹介

このようにプレス加工に多くの可能性を与える増肉加工ですが、当社であれば高い金型設計技術と豊富な実績に基づくノウハウにより最適な提案が可能です。実際の製品事例をご紹介させていただきます。

>>製品事例の一覧はこちら

増肉加工のことなら、池田製作所にお任せください

板鍛造や冷間鍛造の一要素である増肉加工ですが、一体化による工程の効率化、コスト削減など様々なメリットをご提供できるポテンシャルを有した加工です。

増肉加工や板鍛造なら、池田製作所にお任せください!

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