板鍛造・プレス加工技術.comが提供している板鍛造・プレス加工に関する用語について紹介しています。
プレス搬送におけるアイドルは、搬送システムにおいて動力を持たず、動くことのない部品や装置を指します。主にコンベヤーシステムにおいて、動力を持つドライブローラーやモーターがない箇所に設置されます。アイドルは、搬送される材料や製品の重量を支える役割を果たすだけでなく、搬送システム全体のバランスや安定性を保つために重要です。アイドルとドライブローラーが適切に配置されることで、材料の正確な運搬や位置のコントロールが実現され、生産ラインのスムーズな運転や効率的な製造が行われます。アイドルの選定や設置位置の最適化は、搬送システムの設計において重要な要素となります。
穴広げ性とは、鋼板の伸びフランジ成形性を示す材料評価値です。穴広げ性は、打抜き穴を円錐状の工具で押し広げ、初期径に対してどこまで広げられるかを穴広げ率で数値評価することで測定されます。
カチオン塗装におけるエアーポケットは、塗装対象物の表面に塗料が均一に付着する際に生じる空気のたまり場所を指します。これは塗料が塗装対象物に密着せず、塗装表面に気泡や欠陥が生じる原因となります。エアーポケットが存在すると、塗膜の耐久性や外観品質が低下する可能性があります。エアーポケットを防ぐために、適切な塗装条件や塗装装置の設計、塗料の適切な粘度調整が必要です。また、表面の脱脂洗浄やプライマーの使用など、塗装対象物の表面処理も重要な要素です。定期的な塗料供給の確認や塗料の攪拌もエアーポケットの防止に役立ちます。
オーバーベンドとは、材料を設計上の曲げ角度を超えて曲げるプレス加工技術です。この方法は、材料の元の形状に戻る性質を利用して特定の形状や機能を生み出すために行われます。適切な金型設計と加工条件の選択が重要であり、材料の特性や厚さ、曲げ角度に応じて適切なオーバーベンドの量や方法を選ぶ必要があります。
応力解析は、物体や構造物の内部応力分布を予測する手法で、強度評価や設計改良に用いられます。対象を要素に分割し、応力を計算し、最大応力位置を特定します。静的解析(一定負荷下)や動的解析(振動など変動負荷)があり、CADデータと数学モデルを基に行われます。解析結果を活用し、設計最適化や材料選定が行われ、製品の安全性確保に貢献します。自動車、航空宇宙、建築、機械工学で広く応用されますが、正確な解析にはモデル設定、境界条件、材料特性の正確な入力と結果の解釈が必要です。
プレス加工において、荷重保持時間とは、金型によって加圧された材料を一定時間保持することを指します。この時間は、材料が必要な形状に十分に変形し、加工が完了するまでの時間を意味します。荷重保持時間の設定は、加工する材料の性質や厚さ、形状によって異なります。適切な荷重保持時間を設定することで、材料のスプリングバックを抑制したり、均一な形状を得ることが可能です。また、荷重保持時間が長すぎる場合は、生産性が低下することや過剰な成形による材料の損傷が起こる可能性があります。適切な荷重保持時間を見極めることが、高品質なプレス加工を実現する上で重要です。
硬さ試験は、物質の表面硬度を測定する実験です。主に金属材料や合金などの硬さを評価するために用いられます。一般的な硬さ試験には、ロックウェル硬さ試験、ブリネル硬さ試験、ビッカーズ硬さ試験などがあります。試験では硬さの印象を残すために、特定の荷重を試験片に与えます。その後、形成された印象の大きさや深さを測定し、硬さ値を求めます。硬さ試験は材料の品質評価、品質管理、製品評価、研究開発などで広く利用され、材料の強さや耐久性を把握するための重要な手法です。
カチオン電着塗装は、金属製品を保護するために使われる塗装技術です。カチオン性の塗料を水溶液に分散させ、金属製品を陽極(アノード)にして電着します。電流を流すことで塗料粒子が金属表面に吸着し、均一な塗膜を形成します。この塗膜は耐久性があり、耐薬品や耐腐食性に優れます。自動車部品や家電製品、建築材料など幅広い用途に利用され、均一な塗装を実現する一方で環境負荷を低減するためにも重要な塗装技術となっています。
プレス搬送での「感知センサー」は、搬送物や搬送装置の動作や位置を検知するための装置です。例えば、材料の位置や形状を検知して正確な位置合わせを行ったり、搬送装置の動作を制御したりするのに使用されます。感知センサーにはさまざまな種類があります。光センサーや超音波センサーは非接触で検知が可能で、近接センサーや接触センサーは物体との接触を検知します。これらのセンサーは高い精度と応答性を持ち、プレス搬送システムの正確な制御と安全性の確保に重要な役割を果たします。感知センサーの適切な配置と選定が、生産ラインの効率と品質向上に寄与します。
Toyotaの生産方式である”看板生産”は、生産現場の効率と品質管理を重視する手法です。Kanban(看板)システムは、部品と作業の進捗を可視化し、在庫を最小限に抑え、ジャストインタイム生産を可能にします。品質の継続的向上も重要で、問題が発生したらすぐに対処します。Toyotaのこのアプローチは他の産業にも広がり、効率向上、無駄削減、品質管理の強化に貢献しています。
プレス加工における「局部伸び」とは、薄板材料がプレス機のダイスや工具で成形される際に、特定の部分が他の部分よりも大きく伸びる現象を指します。この局部伸びは、薄板材料の厚みや材料特性によって生じ、成形プロセスにおいて制御が難しく、予測が困難なことがあります。局部伸びが発生すると、製品の寸法精度や品質に影響を及ぼすことがあるため、特に複雑な形状や小さなフランジなどで問題とされます。局部伸びを制御するためには、適切なダイスや工具の設計、材料の選定、加工条件の最適化などが必要です。また、局部伸びが発生しやすい部分には補強を行うなどの対策も一般的に取られます。
形状凍結技術は、金属板材料をプレス加工中に一定の形状に固定する技術です。プレス加工の形状凍結とは、金属板などをプレス機械によって所定の形状に加工し、その形状を一定の状態で固定することを指します。加工中に形状を固定することで、加工後の製品が一貫した形状や寸法を持ち、精度の高い製品を量産できるようになります。これにより、製造過程での変形やゆがみを最小限に抑え、品質を確保することが可能となります。
プレス加工における「限界曲げ半径」とは、薄板材料を曲げる際に、曲げ半径が材料の特性や厚さに応じて最小限の値を指します。小さすぎる限界曲げ半径は、割れやひずみを引き起こす可能性が高く、適切な曲げ形状を得ることが難しくなります。逆に、曲げ半径が大きすぎると、精度や形状に問題が生じることがあります。したがって、限界曲げ半径は材料の性質や加工条件を考慮して選定され、加工プロセスにおいて適切に管理される必要があります。
プレス搬送での「高速搬送」は、プレス加工において材料や成形品を迅速に運搬することを指します。高速搬送は生産性を向上させるために重要であり、プレス機やトランスファーシステム、ロボットなどの装置を高速かつ正確に制御することが求められます。高速搬送により、プレス加工のサイクルタイムが短縮され、生産ラインの効率が向上します。また、高速搬送は大量生産に適しており、同時に高品質の成形品を維持することができます。ただし、安全性や品質の確保に注意が必要であり、適切なセンサーや制御システムの導入が重要です。
5Sは、日本の生産現場で広く実践されている効率化・整理術です。以下の5つのステップから構成されます:整理 (Seiri):不必要な物を取り除き、必要な物だけを残す。整頓 (Seiton):必要な物を効率的に配置し、整然と保つ。清掃 (Seiso):職場を清潔に保ち、汚れやゴミを除去する。清潔 (Seiketsu):整理整頓と清掃を定期的に実施し、常に清潔な職場を維持する。躾 (Shitsuke):5Sの徹底を継続し、習慣化させる。5Sの目的は、職場の効率を向上させ、品質を確保し、安全性を高めることです。整理整頓によりムダを減らし、作業効率を向上させることで、生産性や品質の向上が期待できます。また、清潔な環境にすることで安全性を高め、労働者のモチベーション向上にも寄与します。
コンデンサ式溶接機(英:Condenser Welding Machine)とは、電気部品のコンデンサを利用してスポット溶接(抵抗溶接の一種)を行う溶接機です。コンデンサ式溶接の原理は、電極を通じてコンデンサに蓄電された大電流を瞬時に放出することで、母材に対して電気抵抗によるジュール熱を発生させることで接合するという方法です。特徴として、①溶接時間が短いことから薄板や小物部品の溶接に向いている、②一般には溶接が難しいとされるアルミや銅の溶接も無理なく可能である、③パルス幅が小さく母材への熱影響を最小限に抑えられるため綺麗に仕上げることができる(外観部品に向いている)、④融点の高い非鉄金属や異種金属の溶接も可能、といった点が挙げられます。
プレス搬送でのサイクルタイムは、一つの加工サイクルを完了するのにかかる時間を指します。これは、素材の供給から加工・搬送・排出までの全工程を含みます。効率的なプレス搬送では、サイクルタイムを短縮することが重要です。高速な素材供給や正確な位置決め、加工速度の最適化などがサイクルタイムの短縮に寄与します。サイクルタイムの短縮により、生産性が向上し、製造コストの削減や大量生産が可能となります。また、タイムロスの削減により生産ライン全体の効率が向上し、生産能力の拡大が可能となるでしょう。
最大粗さ Ry(Maximum Roughness)は、表面粗さを評価するための指標の一つです。Ryは、表面の凹凸のうち最も高い部分と最も低い部分の間の高さ差を表します。単位はμm(マイクロメートル)で表されます。Ry値は表面の不均一さや凹凸の大きさを示す指標であり、表面の荒さを評価する際に重要な情報となります。Raが表面全体の平均粗さを示すのに対し、Ryは最も高い部分と最も低い部分の局所的な高低差を表します。製品の品質管理や表面の仕上げにおいて、RaとRyを併用して表面の状態を評価することが一般的です。特に、表面の特定の部分の凹凸を確認したり、表面の耐久性や摩擦特性を評価する際にRy値が重要な役割を果たします。
プレス加工において、最大荷重発生点とは、成形過程で材料に最大の圧力がかかる点のことを指します。この点では材料が最も強く圧縮され、加工に必要な最大の荷重が発生します。最大荷重発生点は、成形品の形状や厚さ、金型の設計、材料の性質などによって変化します。プレス加工の際には、最大荷重発生点が適切な位置に設定されることが重要であり、過度な荷重がかかることを防ぐために、適切な成形条件が必要です。最大荷重発生点の把握は、金型の設計やプレス加工の品質管理において重要な要素となります
プレス加工において材料拘束は、素材が加工機械の金型やフィクスチャにしっかりと固定されることを指します。適切な材料拘束を行うことで、加工中に素材がずれたりねじれたりするのを防ぎ、加工精度や品質を向上させることができます。材料拘束の方法としては、クランプやストッパーを使用した機械的な拘束や、真空吸着などの非接触での拘束があります。加工に適した拘束方法を選定し、適切に設定することで、プレス加工の効率向上や製品の一貫性を確保することができます。また、材料拘束による素材の安全性確保も重要なポイントです。
三現主義(さんげんしゅぎ)とは、製造業などの品質管理の現場におけるものづくりで重要視されている考え方の一つです。この考え方では、まず第一に現場に実際に足を運び、現物を直接目で確認して、現実をしっかり踏まえてから物事を考え、問題を解決することが大切だとされています。つまり、オフィスの中やデスクの上で考えた理屈の上では正しいと思ったことは、実際の現場で起きていることと乖離があるため、問題の発見や解決をすることは難しいということです。 この考え方は、トヨタやホンダ自動車など多くの企業で重要視されており、品質管理や生産性向上に貢献しています。また、最近ではデジタル技術の進化により、遠隔地からも三現主義を実践する方法が模索されています。 三現主義はものづくりだけでなく、他の分野でも応用されており、その重要性は広く認識されています
プレス搬送における三次元搬送は、プレス機や関連装置と連携して、板金や薄板材料などの加工素材を立体的に移動させる搬送方法を指します。これにより、プレス加工や製造工程において効率的な材料の供給や配置が可能になります
算術平均粗さ Ra(Roughness Average)は、表面粗さを評価するための一般的な指標の一つです。表面の凹凸を総和し、その平均値を求めたもので、単位はμm(マイクロメートル)で表されます。Raは、表面粗さ計を用いて測定されます。Ra値が小さいほど表面は滑らかで均一であり、加工精度が高いことを示します。一般的に、機械加工などの製造プロセスにおいて、目標とするRa値を設定し、その範囲内で表面を仕上げます。製品の品質管理や表面仕上げの指標として重要な数値であり、さまざまな産業分野で品質向上に役立てられます。
クルマの基本性能である、走る、曲がる、止まるに支障をきたす装置および火災など、重大な事故に至る装置を構成する部品を重要保安部品と呼びます。これは法令などで定められたものではなく、クルマの品質管理上で呼ばれています。保安上重要な装置には、動力伝達装置、かじ取り装置、制動装置、緩衝装置、燃料装置などがあり、これらの装置を構成する部品のすべてまたは一部が重要保安部品に該当します。例えば、クルマを止める機能をもつ制動装置では、それを構成するブレーキペダル、マスターシリンダー、パイプとホース、ホイールシリンダー、パッドとライニング、ディスクとドラムなどすべてが該当します。
十点平均粗さ Rz(Ten-Point Mean Roughness)は、表面粗さの評価指標の一つで、特定の長さの評価区間における最高峰と最深溝の高さ差の平均値を示します。評価区間は10個の異なるポイントで選ばれ、高い5つの山と低い5つの谷の高さを計測して平均します。Rz値は表面の凹凸や起伏の大きさをより詳細に把握することができ、表面の荒さや加工精度を判定するのに有用です。一般的に、Rz値が大きいほど表面は粗く、Rz値が小さいほど表面は滑らかです。製造業や品質管理の分野でRz値は広く使用され、製品の品質向上や加工工程の改善に役立てられます。また、さまざまな規格に基づいて、製品の仕様や表面仕上げの要件を定める際にも活用されます。
成型荷重(英:Forming Load)は、プレス成型機でワークを任意の形状に変形させるために必要な負荷のことを指します。翻って、プレス成型機または金型への負荷のことも成型荷重と呼ぶことがあります。
成型荷重波形(英:Forming Load Waveform)は、プレス成型加工プロセスにおける成型荷重の変化を波形状に表した図になります。この波形監視データは、
・トライ時の成型荷重にもとづく量産設備の適切な選定
・量産時におけるプレス成型金型の二重打検知
・偏心荷重に依るパンチのカジリ
・加工中の過負荷監視
等、プレス加工においてトライ~量産まで様々な段階・目的で利用することができます。
プレス加工において、成形荷重波形とは、加圧された材料の荷重が時間とともにどのように変化するかを表したグラフのことです。通常、成形荷重波形は圧力センサーなどを用いて計測され、グラフ化されます。成形荷重波形には、以下のような特徴があります。上昇期:金型が接触して圧力が上昇する期間。最大成形期:成形荷重が最大値に達する期間。下降期:成形が終了し、圧力が緩和する期間。成形荷重波形の特性は、材料の性質や厚さ、形状、金型の設計などによって影響を受けます。適切な成形荷重波形の把握は、プレス加工の品質管理やプロセス改善に役立ちます。
製造品質とは、製品を製造する過程での品質を指します。製造品質の向上は、製品の機能、性能、寿命、耐久性、信頼性などの向上につながります。製造品質を確保するためには、適切な製造プロセスの管理、生産設備の適正な運用・メンテナンス、作業者の技術や品質意識の向上などが必要です。また、品質管理手法や品質検査を導入し、製品の品質を定期的に評価・改善することも重要です。製造品質の確保は、製品の競争力を高めるために不可欠な要素となります。
精密打抜き加工は、金属板などの材料から特定の形状を高い精度で切り抜くプレス加工方法で、高寸法精度と形状一貫性が必要な産業で広く用いられます。専用金型とプレス機械を用い、材料をパンチングによって加工します。適切な加工条件と金型の精度が重要で、自動車産業、電子機器製造、医療機器などで小型部品の製造に適しています。
設計品質とは、製品やサービスを計画・設計する段階での品質を指します。製品の機能、性能、寿命、信頼性、安全性、使いやすさなどが設計品質の重要な要素です。良い設計品質は、製品の競争力や顧客満足度を高めるだけでなく、製造やサービス提供における効率化やコスト削減にも貢献します。設計品質の向上には、顧客ニーズの明確化、適切な材料選定、技術の最新化、シミュレーションや試験の活用、デザイン改善などが重要な要素です。設計品質を高めることで、より競争力のある製品やサービスを提供することが可能となります。
増肉加工は、板厚よりもプレス加工後の板厚が厚くなるように、局所的に肉を他場所から流してくる、一体成形を実現する加工方法です。
増肉加工のメリットは主に下記の通りです。
・複数工程の単工程化
・コストメリットの提供
・加工精度の向上
・金属強度の向上
・軽量化(アルミダイカストなど)
金属が熱されて行う熱間鍛造でも行われる増肉加工ですが、冷間鍛造では常温のため、金属は硬く、成形には大きな圧力が必要となります。そのため肉流れが起きづらく、冷間鍛造における増肉加工は非常に難易度が高くなります。
増肉加工は、板厚よりもプレス加工後の板厚が厚くなるように、局所的に肉を他場所から流してくる、一体成形を実現する加工方法です。
増肉加工のメリットは主に下記の通りです。
・複数工程の単工程化
・コストメリットの提供
・加工精度の向上
・金属強度の向上
・軽量化(アルミダイカストなど)
金属が熱されて行う熱間鍛造でも行われる増肉加工ですが、冷間鍛造では常温のため、金属は硬く、成形には大きな圧力が必要となります。そのため肉流れが起きづらく、冷間鍛造における増肉加工は非常に難易度が高くなります。
バーリング加工とは、板金加工において穴をあけた際に穴の周囲にフランジをつけて高さをつける加工方法です。この板厚よりも穴周囲を高くすることで、本来はナットが必要な個所に対して板金自体にタップを施すことができ、部品点数レスと同時に工数レスを実現することができます。
このバーリング加工を、プレス加工で増肉加工によって実現した加工方法が、増肉バーリング加工です。そもそもの増肉加工自体も困難ですが、タップ加工ができるほど局所的に板厚を厚くして溶接ナット代わりにするのは、さらに難易度が高くなります。
しかし当社では独自のプレス・鍛造金型の設計・製作技術により、この増肉バーリング加工を実現し、国内大手メーカーの設計エンジニアの方々からも注目を集めています。
プレスにおける「ダイクッション(die cushion)」は、プレス機のストローク終了時に、ダイ(型)とスライド部の間に装置される油圧シリンダーやエアシリンダーなどの装置です。この装置により、金型への過度の衝撃を吸収し、加工品の歪みを防止します。ダイクッションは、圧延や押出しプレスなどの高い精度を要求するプレス加工でよく使用され、品質向上と金型の寿命を延ばす役割を果たします。
カチオン塗装における脱脂洗浄は、塗料の付着性や耐久性を向上させるために重要な工程です。脱脂洗浄は通常、以下のような手順で行われます。まず、塗装する対象の表面から油や脂肪、ほこり、汚れなどの不純物を除去するために洗浄剤を用いて洗浄します。これにより、塗料が表面にしっかりと密着できるようになります。次に、カチオン塗装に特化した脱脂洗浄剤を用いて、表面から静電気に反応する汚染物質を効果的に取り除きます。これにより、塗料の付着性が向上し、塗膜の均一性が確保されます。
プレス加工における縮みフランジとは、プレス加工で薄板材料を成形する方法で、部品のフランジ部分を収縮させます。これにより、製品の組み立てや密封が改善され、部品同士の干渉を防ぎ、隙間を調整できます。縮みフランジは円形や長方形のフランジを持つ部品に使用され、製品設計や製造に便利です。
プレス搬送での「低速搬送」は、プレス加工において材料や成形品を比較的遅いスピードで運搬することを指します。低速搬送は精密な位置合わせやデリケートな加工が必要な場合に使用されます。特に高品質な成形品の製造や特殊な形状の材料を取り扱う際に重要です。低速搬送は安全性を確保し、プレス機やトランスファーシステムの動作を正確に制御することが可能となります。また、低速搬送は生産ラインの安定性を高め、品質管理にも寄与します。ただし、生産性を向上させるためには適切なスケジュールや効率的なプレス作業の組み合わせが必要です。
適合の品質とは、製品やサービスが顧客の要求や期待に適合していることを意味します。顧客のニーズや要件を満たし、品質基準や規格に合致していることが重要です。適合の品質を確保するためには、顧客とのコミュニケーションを大切にし、要求仕様を明確に把握することが必要です。また、品質計画や品質管理の徹底、製品の検査・評価、品質改善活動などが重要な手段です。適合の品質を実現することで、顧客満足度を向上させ、競争力を高めることができます。
プレス搬送での「電磁マグネット」は、電流が流れることによって磁力を発生する装置です。トランスファーシステムやロボットアームに取り付けられ、金属製の材料や成形品を持ち上げたり運搬したりするのに使用されます。電磁マグネットはオン/オフを切り替えることで磁力を制御でき、搬送物の保持や放出が可能となります。非常に強力な磁力を持つため、重い材料や成形品を効率的かつ安全に取り扱うことができます。また、磁力が電流の供給によって制御されるため、電力を適切に制御することで搬送物の操作を正確に行うことができます。電磁マグネットはプレス搬送システムにおいて重要なツールとして広く利用されています。
特性要因図(または魚の骨図、魚の目図とも呼ばれる)は、問題解決や品質改善に用いられる手法の一つです。問題の原因を探求し、問題の特性(結果)とその原因(要因)の関係を視覚的に表現します。問題を「魚の頭」として図示し、その原因を「魚の骨」のように枝分かれさせて示します。これにより、問題の本質的な原因を探り、根本的な改善策を立案するためのヒントを得ることができます。特性要因図はチームでの議論を促進し、問題解決の効果を高めるのに役立ちます。
「トリム加工」は、プレス加工で加工品から余分な材料やフラッシュを取り除く作業で、最終形状を整えるために行われます。絞り加工を行った後に不要となる縁部を切断する加工をトリム加工もしくはトリミング加工と呼びます。トリム加工には、ピンチトリミング法、フラッシュトリミング法、ワイプダウントリミング法、トリムフランジ法などの方法があります。正確で効率的なトリム加工によって、加工品の品質向上と寸法精度の向上に貢献します。
プレス加工の内部クラックは、金属板や薄板などをプレス機で成形する際に、材料の内部に発生するクラックのことを指します。内部クラックは通常、加工時の応力集中や金属の変形によって生じます。内部クラックが発生すると、製品の品質が低下し、強度や耐久性に問題を引き起こす可能性があります。内部クラックを防止するためには、適切な材料の選定やプレス機の設定、ダイの形状などが重要です。また、材料の予熱や適切な冷却など、加工時の温度管理も内部クラックの抑制に役立ちます。熟練した技術者による適切な操作と品質管理が内部クラックの防止につながります。
「ニアネットシェイプ」はプレス加工技術で、最終形状に近づけ、後処理を最小限に抑えます。余剰材料の削減と加工工程の削減により、材料の節約と製品の効率向上に貢献。精密なプレス加工と適切な金型設計、材料の流れと応力分布の制御、性質と成形条件の最適化が必要。自動車や航空宇宙などで広く利用され、複雑な形状や高精度の部品製造に適しています。効率的な製造と高品質製品を実現する重要技術です。
プレス搬送における二次元搬送は、平面上で材料を前後左右に移動させる搬送方法を指します。これは、プレス機や関連装置と連携して、板金や薄板材料などの加工素材を効率的に供給・配置するために用いられます。
プレス加工における「2次せん断」とは、材料がプレス機械でせん断される際に生じる現象であり、加工品の形状や材料の特性に影響されます。2次せん断は、材料の伸びや破壊の要因となります。この現象を軽減するためには、適切な金型設計と加工条件の設定が不可欠であり、材料の特性や厚さに応じてプレス機械の適切な設定と金型の形状を選択する必要があります。
2枚検知センサーは、機械や装置において2枚の物体や部品を検知するためのセンサーです。一般的には、2枚の物体がセンサーの検知範囲に入った場合に出力信号を発生させます。このセンサーは、製造業や自動化された生産ラインなどで多く使用されます。例えば、2枚の部品が正確に位置しているかを確認して加工や組み立て作業を制御する際に利用されます。また、2枚の金属板材料の同時検知にも用いられます。センサーの種類としては、光センサーや超音波センサー、キャパシティセンサーなどがあり、用途に応じて適切なセンサーが選ばれます。
プレス加工でのネットシェイプは、薄板材料を用いて複雑な形状の部品を生産するための加工技術です。従来のプレス加工では、固定された金型を使って一度に一つの部品を成形するのに対し、ネットシェイプでは複数の切削機とロボットを組み合わせて、連続的に複数の部品を切り出すことが可能です。これにより生産性が向上し、無駄な余剰部材を最小限に抑えることができます。ネットシェイプは特に自動車産業や電子機器産業などで広く活用されています。
ねらいの品質とは、製品やサービスの設計・製造・提供などの段階で設定した目標となる品質のことを指します。つまり、あらかじめ定めた品質基準に達成することを目指すものです。顧客の要求やニーズ、法規制などに応じて、ねらいの品質は異なります。品質計画や品質目標の策定、品質管理手法の導入、検査や評価の実施などによって、ねらいの品質を達成し、製品やサービスの信頼性や満足度を向上させることが重要です。また、ねらいの品質を実現するためには、組織全体での品質意識や取り組みが必要となります。
プレス加工における伸びフランジは、薄板材料をプレス機と金型を使用して成形する際に、部品の特定の領域でフランジ部分を伸ばす加工方法です。これにより、耐久性と耐荷重性が向上し、自動車ボディパネルや家電筐体などの構造部品で広く使用されます。フランジの形状と伸びを調整することで、製品の性能と外観を最適化できます。プレス加工の生産性と精度を組み合わせた効果的な成形手法です。
プレス搬送における「バキュームカップ(vacuum cup)」は、吸盤の一種で、真空を利用して材料を持ち上げるための装置です。プレス加工ラインにおいて、シートメタルやプラスチック製品など薄い材料を確実に固定・運搬するのに使用されます。バキュームカップはプレス機やロボットのエンドエフェクタに取り付けられ、材料の表面に吸着して保持します。真空をかけることでカップが密着し、材料の持ち上げ・運搬が可能となります。バキュームカップは自動化に適しており、生産性向上と生産ラインの安定性に貢献します。異なる形状やサイズの材料に対応するために、さまざまなバリエーションが存在します。
張り出し成形は、薄板材料をプレス機のダイスや工具を使用して特定の形状の張り出し部分を作るプレス加工方法です。自動車のエンブレムや家電製品のデコレーションなど、外観や機能の向上に広く使われています。この方法は高精度かつ効率的で、大量生産に適しています。ダイス形状の変更により柔軟な設計変更も可能です。
パレート図は、原因の優先順位を明確にするためのグラフです。問題の原因や要因を頻度や重要度の高い順に並べ、棒グラフで表示します。左から順に棒の高さが低くなるため、重要な原因が一目で分かります。これにより、問題解決や改善活動において、効果的な施策の優先順位をつけることができます。パレートの法則とも関連し、少数の原因が全体の問題の大部分を占めるという法則を反映しています。ビジネス分野や品質改善、生産管理などで広く活用される有用なツールです。
ビッカース硬さ(英: Vickers hardness、記号:HV)は、金属やセラミックなどの硬い材料の表面硬度を測定するための試験方法です。ビッカース硬さ試験では、菱形のダイヤモンドインジェクタを試験片の表面に一定荷重で押し付け、一定時間保持します。その後、プローブが形成した菱形のインジェクションの対角線長を測定して硬さを求めます。ビッカース硬さは微小な印象を作成するため、細かい材料の硬さ測定に適しています。この試験は研究や品質管理に利用され、異なる材料の硬さを比較したり、硬さの変化を調査したりするのに役立ちます。
プレス加工における引張りは、素材を引っ張って伸ばす力をかけることを指します。これにより素材の長さが伸び、幅が狭くなります。引張り加工は、板金や金属の成形、プレス加工においてよく行われます。引張りによって素材の形状を変え、欲しい形に成形することができます。ただし、引張り加工は素材の強度や硬さに影響を及ぼすため、適切な設計と加工条件が必要です。また、引張りによって発生する応力に注意し、割れや変形を防ぐ対策が必要です。
表面粗さとは、物体の表面の粗さやざらつきの度合いを表す指標です。一般的には、微小な凹凸や波形の高さ差を測定します。表面粗さは、工業製品や部品の品質を評価するために重要な要素であり、摩擦、密着、光沢などの特性に影響を与えます。表面粗さを測定するためには、表面粗さ計や表面輪郭計などの測定器具を使用します。加工工程や製品の設計において、適切な表面粗さを確保することは、製品の性能や寿命を向上させるために重要な要素となります。
プレス搬送でのフィードバーは、プレス機や関連装置と連動して、材料を正確な位置に供給するための装置です。フィードバーはコンベヤーシステムやロボットアームに取り付けられ、材料の送り出しや位置調整を行います。フィードバーは、センサーによって材料の位置を検知し、制御装置にフィードバック情報を送ります。制御装置はこれに基づいて搬送速度や位置を調整し、正確なタイミングで材料を供給します。これにより、プレス機の動作と連動して材料の供給がスムーズに行われ、生産ラインの効率が向上します。フィードバーは高精度な動作を要求される場面で重要な役割を果たします。
トランスファープレスにおける「フィードバー」とは、部品や材料をプレス機械の工程間で正確に移送するための装置です。フィードバーは、部品の連続的な供給と正確な位置決めを実現する役割を果たします。
プレス搬送での「フィンガー(Finger)」は、トランスファーシステムやフィーダーなどの搬送装置に取り付けられた細長い突起部分を指します。フィンガーは、金属製の材料や成形品を支えたり位置合わせしたりするために使用されます。フィンガーは複数本並べて搬送物を安定させることで、加工品の垂直な運搬や形状に合わせた搬送を行うことができます。また、フィンガーは長さや形状を調整することで、さまざまなサイズや形状の材料に適応できます。フィンガーはプレス搬送において重要な部品であり、精密な位置合わせや正確な搬送を実現するために広く使用されています。
「プレス下死点」とは、プレス機械におけるストローク運動の最下点を指します。この位置では、プレス機械の動きが停止し、材料と金型の間に高い圧力がかかります。この圧力によって材料が加工され、部品の形成や切断が行われます。プレス下死点の正確な設定と制御は、加工品の品質、寸法精度、安全性に直接影響を与えます。プレス下死点の位置と速度は、加工品の要件や金型の設計に応じて調整され、最適な加工条件を確保し、高品質な製品を製造するために欠かせない要素です。
プレス加工における巻き込み曲げは、素材をプレス機械で曲げる際に、端部や角に巻き込まれる現象を指します。巻き込み曲げが発生すると、素材の端部が曲がったり、ねじれたりしてしまい、形状の精度や品質が低下することがあります。巻き込み曲げを防ぐためには、適切な曲げ金型の設計や素材の配置、加工条件の調整が重要です。また、素材の厚さや硬さ、曲げ角度などによっても巻き込み曲げの発生が影響を受けるため、これらの要因を考慮して適切な対策を行うことが必要です。加工の品質向上と安全性確保のためには、巻き込み曲げを予防する工夫が欠かせない重要な要素となります。
「製品ムシレ」とは、プレス加工時に材料の伸縮や金型との接触によって生じる表面の歪みや凹凸を指します。対策として、適切な金型と工具の選定、加工条件の最適化、材料選択と補強、ダイクッションやサポート材の使用、金型改善、専用工具の導入などが挙げられます。これらの対策と工夫により、製品ムシレを最小限に抑え、高品質な加工品を実現します。
プレス搬送での「リミットスイッチ」は、搬送装置やトランスファーロボットの動作範囲を制限するための装置です。リミットスイッチは、機械が特定の位置に達したときに自動的に作動し、動作の停止や逆方向への動作を防止します。これにより、搬送装置が過剰なストロークを行わず、加工品の位置合わせや運搬が正確に行われます。リミットスイッチはセンサーによって物理的な制御が行われることが一般的で、プレス搬送システムの安全性と信頼性を向上させます。適切なリミットスイッチの設置と調整が重要であり、加工品の品質と生産ラインの安全性を確保するために不可欠な装置です。
プレス搬送での「リミット棒(Limit Bar)」は、搬送装置やトランスファーロボットの動作範囲を制限するために使用される棒状の部品です。リミット棒は機械の動作や位置を制御するために設置され、特定の位置に達すると搬送装置の動作が停止するように設計されています。リミット棒は機械的な制御を提供するため、信頼性が高く、センサーに比べて比較的シンプルな構造を持ちます。これにより、加工品の位置合わせや運搬が正確に行われ、搬送システムの安全性と精度を向上させます。適切なリミット棒の設置と調整が重要であり、プレス搬送において安全性と品質を確保するために欠かせない要素となります。
6Sは、5Sにさらに「安全」(Safety)を加えた改善活動です。生産現場での効率化と安全性を重視します。整理 (Seiri):不要な物を除去し、必要な物を整理する。整頓 (Seiton):必要な物を効率的に配置して整然と保つ。清掃 (Seiso):職場を清潔に保ち、汚れやゴミを除去する。清潔 (Seiketsu):整理整頓と清掃を継続して実施し、常に清潔な環境を維持する。躾 (Shitsuke):5Sの徹底を習慣化させる。安全 (Safety):作業環境や機械の安全性向上に注力し、事故予防を徹底する。6Sは、生産性の向上と同時に作業員の安全を重視した改善活動で、より効果的な改善と持続的な結果をもたらします。
ロックウェル硬さ(英: Rockwell hardness、記号:HR)は、金属材料やプラスチック、合金などの硬さを測定するための試験方法の一つです。ロックウェル硬さ試験では、ダイヤモンドや硬い球体のインジェクタを試験片の表面に荷重をかけて押し付けます。一定時間後に荷重を解除し、プローブが形成した印象の深さを測定します。この深さによって、材料の硬さを特定のスケールで表現します(HRA、HRB、HRCなど)。ロックウェル硬さ試験は広く利用され、金属加工や材料選定、品質管理、製品評価などに重要な役割を果たします。
L曲げは、材料をL字型に曲げるプレス加工方法で、直角に曲がったエッジやフランジを持つ部品や構造を作るのに使われます。金型は曲げ角度や曲げ半径に合わせて設計され、材料を正確に曲げる役割を果たします。L曲げの過程では、曲げ金型によって内側と外側の曲げ半径が形成され金型の形状や加工条件は、曲げの品質と寸法精度に影響を及ぼします。量産時は、曲げ角度や曲げ半径の管理が重要であり、適切な金型保全と加工条件の選択が必要です。
FEM(有限要素法)は工学や物理学の数値解析手法で、複雑な構造や現象を小さな要素に分割し、数学モデルで近似的に表現します。各要素ごとに方程式を解き、構造物の応力、変形、熱、流体などを解析します。柔軟で非線形性や異種材料に適用可能で、大規模な問題も計算機の性能向上で扱えます。製品設計、構造解析、材料開発、流体解析、熱伝導解析など広く用いられ、信頼性と効率性向上に寄与しますが、正確な結果を得るには適切なモデル設定や知識が必要です。
QC7つ道具は、品質管理の手法を表す言葉で、次の7つのツールを指します。1. ヒストグラム:データの分布をグラフで表示し、データの特性を理解する。2. 散布図:2つの変数の関係を可視化して相関を分析する。3. チェックシート:データを収集して問題点を把握するための記録シート。4. パレート図:問題の重要度や原因を明らかにするために問題を順位付けする。5. 直交表:複数の要因を効率的に評価するための実験計画法。6. 動差図:測定値の変動を分析し、安定性を確保するための統計的手法。7. 制御図:プロセスの安定性を監視するためにデータを管理するグラフ。これらの道具を使って品質向上や問題解決に役立てます。
CAE(Computer-Aided Engineering)解析は、コンピュータを使って製品やシステムの性能を予測し、設計の問題点を特定する技術です。CADデータから数学モデルを作り、材料や条件を設定して強度、応力、熱、流体などの情報を計算します。初期段階から利用し、試作を減らし、品質向上とコスト削減を実現します。自動車、航空宇宙、電子機器、建築など幅広い産業で使われ、高度な解析手法と専門知識が必要です。
Just-In-Time(JIT)は、必要な資材や製品を必要な時に必要な量だけ供給する戦略です。主な特徴は在庫最小化、生産効率向上、品質管理、迅速な顧客対応です。これにより、コスト削減、効率改善、顧客満足度向上が実現されます。ただし、正確な計画と供給チェーン信頼性が必要で、予測誤差へのリスクがある点に留意が必要です。